台風のたびに、自社工場のスレート屋根が飛散して近隣に被害を与えないか不安を感じている担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、スレート屋根が台風で飛散するメカニズムと、飛散した場合に生じうるリスク、飛散を防ぐための改修工法について解説します。
スレート屋根材は、紫外線や雨風にさらされ続けることで、主成分であるセメント質が徐々に脆くなり、ひび割れや欠けが生じやすくなります。また、スレートを固定しているフックボルトなどの金具は金属製のため、経年とともに錆が進行し、固定力そのものが低下していく点にも注意が必要です。こうした劣化が進んだ状態のスレートは、通常であれば問題のない風でも破損・飛散するリスクが高まります。
台風の強風が屋根の上を高速で通過する際、屋根面を上向きに引き上げる強力な「負圧」が発生します。この負圧は、軒先や棟、妻側の端部など特定の箇所に集中しやすい特徴があります。さらに、経年劣化で生じたスレートの重なり目やフックボルト周りの隙間から強風が入り込むと、下から押し上げる力(煽り)も加わります。固定力が低下したスレートに、これらの力が同時に働くことで生じるのが飛散です。
飛散したスレート片が近隣の建物や車両、通行人に当たった場合、民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)に基づき、屋根の設置・保存に瑕疵(欠陥)があったと判断されると、占有者や所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります。
老朽化や劣化を把握していながら放置していた場合、「必要な注意を払っていなかった」とみなされ、不可抗力(自然災害)としての免責が認められないリスクが高まります。企業の管理責任を果たすためにも、日頃からの点検・対策が不可欠です。
スレートが割れたり飛散したりした箇所からは雨水が浸入しやすくなり、工場内の設備や製品、原材料が水濡れの被害を受けるおそれがあります。浸水の規模によっては、修理期間中の操業停止など、屋根の補修費用以外の損失につながることも考えられます。
比較的軽度な劣化であれば、錆びて固定力が低下したフックボルトの交換や増し締めにより、一定の飛散抑制効果が期待できます。ただし、スレート本体の脆化(脆くなること)が進んでいる場合、強風時にボルト穴周辺からスレート自体が割れて飛散するおそれがあります。ボルトだけの補強には限界がある点に注意が必要です。
屋根材の重なり目やフックボルト周りの隙間をなくし、風の進入や負圧による煽りを防ぐには、屋根全体をシームレスに覆う改修が有効です。液状の樹脂を吹き付けて防水・補強層を形成し、屋根全体を一枚のシート状に一体化させる工法のひとつにスプレーカバー工法(SOSEI工法など)が挙げられます。一つの工法にこだわるのではなく、まずは屋根の状態に合わせて、適切な施工方法を検討することが大切です。
スレート屋根の台風飛散は、経年劣化によるひび割れや固定力低下に、強風による負圧や風の進入が加わることで発生します。飛散した場合、近隣への物損・人身被害や損害賠償責任、操業停止といった甚大な二次被害につながるおそれがあります。
飛散を防ぐには、ボルト等の部分補強だけでなく、屋根全体を一体化させて強度を高める改修法なども検討するとよいでしょう。
工場のスレート屋根の強度に不安がある方は、まずは専門的な診断を受けることをおすすめします。そのうえで、適した業者に依頼しましょう。



※1 参照元:トヨコー公式HP(https://www.toyokoh.com/sosei/)2025年12月時点の公式サイトの記載より
※2、3 参照元:テイガク公式HP(https://yanekabeya.com/esunuki/)
※4 2025年11月18日にGoogle検索「工場 屋根改修」と検索した際に表示された上位25社の業者のうち、工事保証期間が最長。葺き替えと金属製の棟下地を組み合わせた特定の工事を行うことが条件となります。
※5 参照元:綿半ソリューションズ公式HP(https://wkcover.jp/)