工場の屋根改修を徹底解説する専門メディア » スレート屋根の劣化症状・寿命 » 工場のスレート屋根の強度不足と太陽光パネル設置の注意点

工場のスレート屋根の強度不足と太陽光パネル設置の注意点

目次
もっと見る

工場の屋根は面積が広く、太陽光パネルの設置場所として利用されることがある一方、スレート屋根の場合は「強度が足りるのか」が設置判断の分かれ目です。

本記事では、スレート屋根で強度不足が問題になる理由と、強度不足のまま設置した場合のリスク、設置前の確認事項、屋根への荷重を抑えたい場合の工法選びを解説します。

なぜスレート屋根で
強度不足が問題になるのか

薄く割れやすい素材特性

波形スレートは、JIS A 5430(繊維強化セメント板)に規定されるセメント系の屋根材で、規格寸法上の厚さは6.3mmと薄い板状です。規格上の強度を備えているものの、人の体重のように一点に集中する力が加わると、割れて踏み抜きが起きるおそれがある点には注意が必要です。せんい強化セメント板協会の技術資料でも、踏み抜き等の事故を防ぐため、屋根には小波板を避けて強度の高い大波板を使用するよう案内されています。

また、スレート波板はビスの保持力があまりないため、樋受け金物や配電盤などは強度のある下地材に取り付けることが推奨されています。太陽光パネルの架台を固定する場合も、屋根材そのものではなく、母屋などの下地で荷重を受ける構造になると考えるのが自然です。

経年劣化による強度低下

スレートは、表面の塗膜が劣化すると防水性能が落ち、雨水を吸収しやすくなるとされています。吸水と乾燥を繰り返すことで素材が脆くなり、新設時に比べて割れやすい状態になっている場合があります。

強度の問題は、屋根材だけにとどまりません。太陽光パネルの荷重は、屋根材の下にある母屋や鉄骨などの構造体が受けるため、これらが腐食・劣化していれば、屋根材が健全でも荷重を支えきれない可能性があります。設置前の確認では、設計時に想定した荷重と、現在の建物が支えられる荷重を別のものとして捉えることが必要です。

強度不足のまま設置した場合の
リスク

踏み抜き事故や荷重による屋根の変形・破損

設置工事の段階では、スレート屋根の踏み抜きによる墜落事故が懸念されます。労働安全衛生規則第524条は、スレート、木毛板等の材料でふかれた屋根の上で作業を行う場合において、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、幅が30センチメートル以上の歩み板を設け、防網を張る等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならないと定めています。劣化が進んだ屋根ほど踏み抜きのリスクは高まるため、施工業者がこうした措置を計画に含めているかを、事前に確認しておくことが大切です。

設置後は、パネル・架台・金具の重量が屋根に継続して加わります。さらに、建築基準法施行令では、建築物に作用する荷重及び外力として、固定荷重・積載荷重・積雪荷重・風圧力・地震力などが定められており、積雪時や強風時には、パネルの重量に加えて雪の重さや風による力も作用します。強度が不足している屋根では、屋根材の割れや下地のたわみ、固定部からの雨漏りにつながるおそれがある点に注意が必要です。

設置前に行うべき
確認・対策

母屋・下地の構造計算

太陽光パネルを設置する前には、屋根を支える母屋や鉄骨などが、追加される荷重に耐えられるかを構造計算で確認する必要があります。荷重を考える際は、パネルだけでなく、架台や取付金具などの設置部材も含めて合算します。太陽光発電協会(JPEA)によると、屋根に設置する4kWシステムの場合、設置面積は約25〜40㎡、重さは架台などの設置部材を含めて400〜550kg程度です。これは住宅用の目安であり、工場の事業用システムでは規模や仕様が異なる点に留意が必要です。

NEDOの「建物設置型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン」でも、既築の建物については設置前の建物調査が項目として示されています。図面や構造計算書が残っていない古い工場では、現況調査をふまえて検討することになります。追加できる荷重の数値は建物ごとに異なるため、構造設計者などの専門家による確認が欠かせません。

強度を補う改修

調査の結果、屋根や下地の強度に不安がある場合は、太陽光パネルの設置より先に、強度を補う改修を行う選択肢があります。下地の補強のほか、既存スレートの上に金属屋根を重ねるカバー工法、液状の樹脂を吹き付けて防水・補強を行うスプレーカバー工法(SOSEI工法など)、既存屋根を撤去して新しい屋根材に置き換える葺き替えなどが候補になります。

どの工法でも、改修後にパネルを載せられるかは、荷重条件や架台の固定方法によって変わるため、個別の確認が必要です。一方で、パネル側の工夫として、薄型・軽量のパネルを接着剤でスレート屋根に固定する施工方法を、事業者が公表している例もあります。屋根側とパネル側の双方から、荷重を抑える方法を比較検討するとよいでしょう。

屋根への荷重を抑えたい場合の
工法選び

屋根への荷重を抑えたい場合は、工法ごとに既存屋根へ追加される重量が異なる点も、判断材料の一つになります。主な工法の違いは、次のとおりです。

比較項目 金属カバー工法 スプレーカバー工法(SOSEI工法) 葺き替え
既存屋根の扱い 既存スレートを残し、金属屋根を重ねる 既存スレートを残し、樹脂を吹き付ける 既存スレートを撤去し、新しい屋根材に置き換える
追加される荷重の目安 約5kg/㎡(ガルバリウム鋼板屋根材の例) 約2.5kg/㎡ 撤去により既存屋根の重量が除かれるため、屋根材によっては既存より軽くなる場合がある
前提・留意点 母屋・下地の強度が前提となる 構造的な劣化や屋根材の著しい劣化がある屋根は施工できないとされている アスベストを含む場合は、飛散防止措置や廃棄物処理の負担が生じる

ただし、荷重の軽さだけで工法の優劣が決まるわけではありません。実際には、既存屋根に追加される重量に加えて、パネルと架台の重量、積雪や風による荷重も加わります。いずれの工法を選ぶ場合も、設置前の構造計算は欠かせません。

また、前提となる条件や施工できない屋根の状態は工法ごとに異なるため、事前の現地調査で確認する必要があります。

まとめ
太陽光設置は屋根の強度診断と
セットで検討することが重要

スレート屋根は、薄い板状で経年劣化による脆化が進みやすく、パネルの荷重や設置工事中の踏み抜きといった面で強度が課題になります。強度の問題は屋根材だけでなく、母屋や鉄骨などの下地・構造体の状態にも左右されます。

太陽光パネルの設置を検討する際は、設置の可否を先に決めるのではなく、屋根と下地の強度診断を行い、強度を補う改修も必要かを判断することが大切です。工法ごとの荷重の違いは判断材料の一つですが、どの工法でも設置前の構造計算は欠かせません。まずは専門業者による診断を受けたうえで、屋根の状態に合った改修方法を検討することをおすすめします。

工場のスレート屋根の強度に不安がある方は、まずは専門的な診断を受けることをおすすめします。そのうえで、適した業者に依頼しましょう。

屋根の状態に合わせて選ぶ
工場の屋根改修業者3選

ダクトなど凹凸のある屋根

ダクトなど凹凸のある屋根
SOSEI工法
瞬間硬化で凹凸もカバー
短期の施工でコストを抑えやすい

トヨコー

おすすめの理由
  • ダクトなどの凹凸や複雑な形状にも、吹付施工で対応しやすい
  • 屋根表面のみを施工するため、屋内側の操業への影響を抑えながら施工を計画しやすい※1
  • 瞬間硬化により短工期を目指せ、10日間で最大10,000㎡を施工した実績がある※1

フラットで障害のない屋根

フラットで障害のない屋根
金属カバー工法
金属製の屋根材を重ねる工法で
平坦な屋根でコストを抑えやすい

綿半ソリューションズ

おすすめの理由
  • フラットで障害の少ない屋根では、資材加工の手間を抑えやすい
  • 既存屋根を撤去せずに施工するため、操業を止めずに工事できると案内されている※5
  • 外装に穴を開けずに施工でき、切屑などの粉塵が建物内に飛散する心配を抑えられる

剥がれや欠損がある屋根

剥がれや欠損がある屋根
葺き替え
強風でも剥がれにくい屋根に一新し
トータルコストを抑制する

テイガク

おすすめの理由
  • 特許取得済み※2の金属下地による、高い止水性が特徴
  • 強風時の漏水や棟の剥がれに配慮した屋根へ一新できる※3
  • 15年保証※4により、長期的なメンテナンス負担の軽減を目指せる

※1 参照元:トヨコー公式HP(https://www.toyokoh.com/sosei/)2025年12月時点の公式サイトの記載より
※2、3 参照元:テイガク公式HP(https://yanekabeya.com/esunuki/)
※4 2025年11月18日にGoogle検索「工場 屋根改修」と検索した際に表示された上位25社の業者のうち、工事保証期間が最長。葺き替えと金属製の棟下地を組み合わせた特定の工事を行うことが条件となります。
※5 参照元:綿半ソリューションズ公式HP(https://wkcover.jp/)

工場の屋根改修業者3選
を詳しく紹介